主筋の付着のないRC部材の多軸復元力特性に関する実験研究: その3 多軸復元力特性に関する考察

摘要

本報では、(その2)で示した実験結果をもとに、スリップ型の多軸非線形復元力特性のモデル化において留意すべき点について考察する。図1にCBS-NB-2の実験結果を示す。左右の図は同じで、X方向とY方向の荷重-変位曲線を重ねたものであるが、変位振幅12mmと18mmでの最初のループをそれぞれ太線で示している。図1に示すように、X方向の繰り返し加力後のY方向加力では、最初のループの水平剛性がX方向のものよりも低下している。図2にはCBS-NB-2のY方向のQy-δy関係を示す。図2に示すように、Y方向の繰り返し加力後のX方向加力では、経験変位以上に変位し、Y方向加力によってX方向におけるスリップ挙動を示す範囲(以下、スリップ領域)も拡大している。