正負繰返し荷重を受ける鉄筋コンクリート造H断面立体耐震壁の3次元FEM解析(その2:解析結果の検討)

摘要

本研究では，RC耐震壁を対象に3次元FEM解析を行った。また，累積吸収ひずみエネルギーによる性能評価を行った。これにより，構造物の定量的な損傷評価が行え，正負繰返し荷重下での累積損傷度が把握できた。以下に解析結果から得られた知見と今後の課題を示す。回転ひび割れモデルでは，ひび割れによるコンクリートの損傷を過大評価し，直交固定ひび割れモデルでは，ひび割れ損傷を過小評価した。その結果，耐力を高めに評価し，耐カ劣化が殆hど生じなかったと考えられる。繰返し荷重を受けるRC部材には，一般的に非直交なせh断ひび割れが発生する。従って，ひび割れによるコンクリートの損傷を適切に評価するために，非直交ひび割れを考慮するモデルの開発が必要である。