建築部位の付加?変更からみた増改築された大谷石蔵の構成:栃木県宇都宮市を中心とする大谷石建造物に関する研究（1）

摘要

栃木県宇都宮市では、地域で産出する大谷石を用いて蔵などの多くの建造物が建てられてきた。本研究はこうした地域に特有の大谷石建造物について検討するものである。大谷石は多孔質な凝灰石であるため耐火性に優れ、古くから蔵の建材として用いられてきた。こうした大谷石蔵は、近年では十分な利用方法が見出せずに壊されているものも少なくないが、宇都宮市の中心部ではこうした蔵を増改築し、物を収蔵する建物から人が利用する建物へと変容させている例が多く見られる。また増改築された蔵は、母屋やその他の外部空間と一体となった敷地全体の空間が活用され、都市空間の一部として成立している。そこで本研究では、宇都宮市中心部における増改築された大谷石蔵の構成について、蔵単体及び蔵を含む敷地全体の両側面から明らかにすることを目的とする。