徳次郎町西根地区における大谷石建物の外形と町並みの構成:栃木県宇都宮市を中心とする大谷石建造物に関する研究(4)

摘要

栃木県宇都宮市徳次郎町の西根地区には大谷石や徳次郎石等の凝灰岩を用いた建物が多く現存しており、特徴的な町並みが形成されている。この地域は徳次郎石の産地であり、火事が頻繁に起きたため防火性の高い石蔵などの大谷石建物が多く建造され、また、石工を生業とする住民も多かったため特徴的な構法や意匠の建物が見られる。しかし、近年では活用機会が減ったことや所有者の世代交代等により、こうした大谷石建物が取り壊されることもある。これまで筆者らは既報において、単体の大谷石蔵の増改築と屋敷の構成について報告した。本研究では大谷石建物が密集する集落を調査し、地域の素材と技術による意匠的特徴を備えた外形と町並みの構成を明らかにすることを目的とする。