振動する膜屋根に作用する空気の付加質量効果: その1　自由振動実験による付加質量測定-

摘要

膜屋根は一般に自重が小さいため，振動する際に周辺 の空気による反力の影響を受け，固有振動数が変化する。 その影響は付加質量効果として扱われ，見かけ上の質量 増加分を付加質量と呼ぶ。HP 型サスペンション膜屋根 を対象とした既往の実験1) においてもその効果が確認さ れている。表1 にその実験および数値解析により得られ た固有振動数を示す。数値解析では，式(1) により算出 される付加質量の有無に対する固有振動数も示す。式(1) は音響工学などの分野において用いられる円形剛板が振 動する際の付加質量算出式を改良したもので，振動体の モード形状や辺長比は考慮できない。そこで本研究では， 空気の反力抵抗を受けるプレートを付加した両端固定梁 の自由振動実験により付加質量効果の確認し，付加質量 を定量的に評価する。さらに，振動する平膜まわりの空 気の速度ポテンシャル場をFEM 解析により求めること で，周辺空気による付加質量効果の基本的性状を明らか にする。その1 では，付加質量測定実験手法およびその 実験の結果得られた付加質量を示す。