プライバシーを考慮した要援護者を含む鉄道乗客者向け、共助喚起システムの提案

摘要

本研究では，沿岸地域を走る鉄道列車の乗客を対象として，津波災害を想定した共助喚起システムを提案した．JR の既存の車内案内放送だけでは，要援護者が避難することは大変困難であるため，このシステムでは，IT 技術を活用し，個人情報のプライバシーを考慮しながら，乗客である周りの人々が要援護者を発見し，分かり易い形で提示された要援護者情報を読み取ることで，どのように手助けをすべきかを把握し，要援護者の列車からの避難を手助け喚起し，列車全体としてスムーズに避難できる仕組みを整えた．また，鉄道事業者関係者の意見をもとに，実際に役立つかどうかや，避難訓練などで導入ができそうであるか評価検証を行う予定である．南海トラフ大地震が予想される社会の中で，列車からの避難は日頃の日常生活の中で準備しておかなければならない問題であるため，今後の課題として，要援護者に限らず，すべての人がより使いやすい仕組みを整える必要がある．