一点が短絡された導体を用いて方向性を改善した結合線路形方向性結合器の試作評価

摘要

多層基板から構成された結合線路形方向性結合器では，使用する基板が薄く，信号導体と地導体との間隔が狭いことがある．このような場合，製造上の制約から，実際の終端の負荷インピーダンスZL よりも結合線路インピーダンスZC が低下し，不要なフォワード結合が生じて方向性が劣化する[1][2]．これは，偶モードの通過位相θe が，奇モードの通過位相θo に対して進むことに起因しており，通過位相差を低減させることで，方向性の改善が期待できる[3][4]．そこで，筆者らは，主に偶モード時に動作する遅波構造を用いることにより，偶奇モードの通過位相を等しくし，方向性を改善する方法を提案している[5]．本稿では，本改善法を適用したストリップ線路形方向性結合器を設計し，実測によりその有効性を確認したので報告する．