自動車のためのセキュアなソフトウェア更新技術の国際標準化

摘要

自動車の電子化が進み、自動車の制御や開発コストにソフトウェアが占める割合は年々拡大している。さらに自動車業界では機器の改良やリコールにかかるコストを低減するため、Electronic Control Unit (ECU) を始めとする車載機器のソフトウェアをネットワークを介して更新するOver-The-Air (OTA) アップデートの技術を導入しつつある[1, 2]。その一方で、電子化された自動車に対する攻撃事例も報告されており、走行中の自動車のハンドルやアクセルの遠隔からの不正な操作が可能なケースが存在することが明らかになっている[3{5]。このような背景を受けて、ネットワーク接続された自動車のセキュリティに関する標準化が国際標準化組織において活発に取り組まれている。これらの取り組みのうち、筆者らはITU-T において自動車のためのセキュアなソフトウェア更新技術の国際標準化を推進してきた。本講演では自動車のセキュリティに関する状況を俯瞰した上で、筆者らが国際標準化を進めるソフトウェア更新技術について紹介する。