在宅療養支援システムの構築: 在宅がん患者への看護支援システムの開発を中心として

摘要

2007 年4 月から施行されたがん対策基本法「がんの在宅療養・緩和ケアの充実」（厚生労働省、2006）により、がん患者に対する在宅緩和ケアのサービスの充実が図られている。在宅における療養生活の質の維持向上を図るためには家族へのこころの支えが必要となる。しかし、終末期においては症状の緩和・管理が難しく在宅で過ごすことのできないことや、患者を支えている家族の身体的・心理的・社会的な負担が大きいなどの問題もある。厚労省の調査結果からも現実は急変時の対応や家族への負担などから、65.5％が在宅療養困難であると回答している。人生の最期は自宅で迎えたいという希望がある一方で、現実的なことを考えると難しい現状である。また、在宅における終末期がん患者に対する質の高い在宅ケアを実現するには、医師、看護師、医療福祉職などのケアに関わる医療専門職間のケア情報提供体制の整備が必要である。地域における多職種との連携ができる在宅チーム医療連携システムも重要である。