臓器角科斤の実現に向けた貫通孔型Siブレードアレイデバイスの開発

摘要

現在，日本では癌の罹患数と死亡者数が増加傾向にあり 大きな問題となっている細胞の分化•分裂の際に，細胞 内の遺伝子に傷が付き，その異常な細胞が増え続けること で，癌が発症する.発症に至る様々なメカニズムがこれまで に研究されているものの，どの細胞が癌化し，どのような細 胞内部もしくは外部シグナルが働き，癌細胞が増殖するか という疑問は十分に解明されていない.このようながんの 発症と転移には、臓器内の細胞の個体差，空間的な配置が関 係していると考えられている.したがって，個々の細胞およ びそれらの空間的な配置に関する情報を有した臓器解析は 癌のメカニズム解明に重要な役割を果たすことが期待され ている.現在の臓器内の細胞の解析では，まず生体から臓器 を摘出し，その臓器から細胞を破砕し，内容物を抽出する， もしくは臓器を薄くスライスし，スライス切片から細胞の 摘出を行う.また染色によりイメージングを行う手法が用rnいられる.抽出された細胞内容物は，例えばmRNAがター ゲットであれば，次世代シーケンサーを用いて発現解析を 行うことが可能である.このように臓器の摘出や，切片の作 製，発現解析では多くの技術が研究，開発されてきた.しか し従来の細胞を回収する技術では次のような課題がある. 一般的な技術では1)臓器構造を破壊し集団で細胞をバル ク液中で极うためターゲット回収の際に細胞の空間情報を 失うこと，空間情報を維持したまま細胞を回収する技術で は，2)精度がオペレーターのスキルに依存してしまこと， 3)スループットが低いこと，4)装置が大型で高価というrn課題がある.