強度輸送方程式法と連続的位相変調による 空間直交振幅変調信号光の高精度非干渉検出

摘要

次世代の記録媒体としてのホログラフィックデータストレージ(HDS)が注目を集めており，そのさらなる大容量化手法として信号光の強度分布に加えて位相分布にも多値変調を施す空間直交振幅変調(Spatial Quadrature AmplitudeModulation :SQAM)が研究されている[1]．一般的なSQAM信号光の検出復調には計測用参照光を用いた干渉計測法が用いられ，これは再生時の振動耐性の低下や光学系の大型化を引き起こす要因となる．我々は干渉計測に拠らない強度輸送方程式(Transport of Intensity Equation :TIE) 法をSQAM 信号光の検出復調に適用する研究を進めてきた[2]．TIE 法では，被検光波の空間位相分布が離散的に変化する場合，光位相の復調精度が低下することが知られている．そこで本研究では，TIE 法によるSQAM 変調信号光の復調精度向上を目的とした，新たな信号光位相変調法を提案する．本手法は信号光位相を空間的に連続的に変調するものであり，特に本稿では基本的な連続的位相変調方式として三角波型を適用する．提案手法と従来の離散位相変調型SQAM信号光の位相復調精度をシミュレーションにより比較することで提案手法の有用性を示す．