保温効果・剛性に着目した新聞用紙による簡易防寒ギアのデザイン

摘要

災害発生後に避難所としての使用が想定されている公共施設には，防災用品や保存食が備蓄されているが，実際の避難人数に対して備蓄用品の数が不足してしまうことが報告されている．特に気温が下がる時期においては，避難所として使われる体育館や公民館などの施設は居住用ではないことから断熱機能が弱く，空間も広いため適度な気温に保つことは難しい．その結果，毛布や暖房器具を用いても，寒さのために十分な休息や睡眠を得られず，健康に支障をきたしてしまう問題も多い．1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では避難所での厳しい寒さによる避難者の苦痛が報告され，2011年の東日本大震災においても，表1に示すように震災発生から2週間が経過した時点で避難所に不足していた物資の上位3項目は燃料や防寒関連商品が占めていた（選択式回答，複数回答可，回答人数284名）．