鋼板接着補強RC 床版のAE 計測による疲労損傷過程の考察

摘要

本研究では鋼板接着補強RC 床版の疲労損傷過程を把握することを目的とし，輪荷重走行下にある鋼板接着補強RC 床版のアコースティック・エミッション（AE）計測を実施した。その結果，補強後の初期段階では，たわみや鋼板剥離は劣化現象として顕在化しないが，コンクリート内部では疲労損傷が蓄積し，かつ局所的に進行することがAE 計測結果から認められた。また，鋼板剥離部に樹脂の再注入を実施した結果，たわみは回復したもののコンクリート内部の損傷は蓄積したままであるため，補強後の初期段階から疲労損傷が蓄積していた領域を中心として，最終的に押抜きせん断破壊を呈することがわかった。