閉塞型イヤシミュレータのFEM 解析とヒトの実耳特性について

摘要

挿入型イヤホンは通常，耳道をふさぐように装着する．閉塞型イヤシミュレータの目的は，イヤホン装着状態での耳道の音響的な影響を模擬することであり，イヤホンの特性測定時にマイクロホンとイヤホンの間に装着される．測定のイメージを図１に示す．閉塞型イヤシミュレータによる測定法や音響的な特性は，国際規格であるIEC60318-4(1)で定義されている．本研究では，この閉塞型イヤシミュレータの音圧周波数特性の解析を試みた．特に，音響伝達経路での空気粘性による減衰を考慮可能な定式化を行い，有限要素法を用いた音響解析ソルバで周波数領域での数値解析を行った．また，実現象との比較のため，18 名分の実耳の音響特性を測定し，さらに，実耳のCT 画像データより3 次元の実耳形状モデルを作成し，有限要素法による数値解析を行った．最後にそれぞれの音圧周波数特性を比較検証した．