軍艦島構造物群の劣化調査:その1 島内構造物群の概要と目視調査結果

摘要

軍艦島に存在するコンクリート構造物は炭坑閉鎖後放置された状態にあったため、劣化の進行が著しく、寿命の終焉を迎えて自然崩壊が近い状態にあるものも存在する。このような状態で存在するコンクリート構造物群は他にはなく、また中性化・塩害の他、アルカリ骨材反応を生じている複合劣化現象も見られ、学術的な価値は非常に高い。材料的性質、施工・維持管理および環境劣化外力との因果関係を調査することにより、RC 建築物の劣化メカニズムと過酷環境下の建築物の維持管理のあり方について、今後貴重な知見が得られることが期待される。