鋼材の付着性能に着目したプレストレスト鉄筋コンクリート十字形部分骨組における梁部材の耐震性能（その2実験結果）

摘要

付着性能の異なる梁主筋とPC 鋼材の組合せを変数として PRC 柱梁十字形部分架構の静的実験を実施し，曲げ破壊する梁部材の耐震性能について以下の知見を得た。(1)プレストレス率が0.8 と純PC 構造に近かったにもかかわらず，復元力履歴ループの形状は梁主筋の付着性能によって支配された。PC 鋼材の種別とは関係なく、梁主筋の付着が良いと紡錘形の履歴となったが，梁主筋の付着劣化が生じると逆S 字形のやせた履歴となった。梁主筋の座屈・破断はPC 鋼材の付着性能に依存し，PC 鋼材の付着が良い場合，これらは生じなかったが，付着が悪い場合には座屈・破断が見られた。(2)異形鉄筋を使用した梁主筋の柱梁接合部中央での付着強度は，PC 鋼材の付着性能の影響を大きく受けた。PC 鋼棒およびPC 鋼より線を用いて付着性能が悪かった場合には梁主筋の付着強度は低下し，異形PC 鋼棒を用いた場合の40~75%であった。(3)梁の残留変形はPC 鋼材の付着性能に支配され，PC 鋼材の付着が良いほど大きくなった。