高加速度強震地震動入力時の位相差による建築構造物の応答低減に関する研究その３：入力の時間差を確率分布で規定する場合

摘要

構造物に加えられる地震入力は基礎構造を介して入力される。構造物が平面的な拡がりを有し、複数の基礎が設けられている場合、各基礎に加えられる入力地震動は同一特性である保証はない。本論では、複数の基礎に加えられる入力地震動に時間差を有する場合の構造物の応答性状（応答低減）について検討を行った。本論では、入力時間差を正規分布する確率変数で規定した。規定する時間差が大きいほど、入力地震動の等価卓越周期が短いほど応答低減の効果が大きいとする既報と整合する傾向が得られた。本報の結果では、最大応答比が１を超える場合が認められたり、長周期卓越型の地震動で応答低減が大きくなる場合が認められたりした。各入力点の時間差の組み合わせパターンや極端に大きな時間差が規定されたことにより異なる傾向が生じることもあり得るのではないかと考えられる。今後の課題としたい。