現代日本の建築家によるインスタレーシヨンの創作意義

摘要

近年、建築家の活動の領域は建物の設計のみならず多様になものへとなりつつある。その1つであるインスタレーシヨンは短期間の展示を目的としたものであるが、例えばバルーンに布をかけて覆われた空間をつくる作品などのように建築的な空間表現の断片をそこから読み取ることが可能である。また、そうした作品とともに提出される建築家の言説においては、「小ささを媒介として，建築を身体に近付ける試み」（図1)といった建築にまで敷衍可能な表現やコンセプトが述べられているように建築への思考を巡らせる場ともなりうると考えられる。そこで、ここでは、現代日本の建築家によるインスタレーシヨンを資料とし2'、その実体表現と創作根拠を検討することで、建築設計から拡張された表現領域における建築家の思考のー端を明らかにすることを目的とする。