地方都市における郊外住宅団地の立地条件と入居者状況の考察 四日市市郊外住宅団地を事例とした高齢化率と入居率の実態

摘要

四日市市においては、工業都市として発展した経緯から鉄道駅からの距離は入居率に影響していなかったが、工業団地に隣接した住宅団地では入居率が高いことが分かった。何より、市街化区域内部の既成市街地に近接した20ha 未満の小規模な住宅団地の入居率が、郊外の計画的な大規模住宅団地に比べ33 ポイント以上多く、入居率93％以上と圧倒的に高いことが分かった。これら郊外に建設された計画的な大規模住宅団地が人口減等による衰退現象が起こっている中、既成市街地近接に建設された比較的小規模な住宅団地は入居率が高く需要があることが窺える。計画的に開発された郊外の大規模住宅団地より、既存の主要幹線道路等の従来の都市構造に沿って建設された小規模な住宅団地の方が、現在も需要があり住民が住み続けているといえる。加えてこれらの知見を、コンパクトシティの形成や立地適正計画の作成等に向け、既成市街地を中心とし主要幹線道路等で軸状に結ぶコンパクト＋ネットワーク型都市構造等の持続可能な都市づくりのあり方を示す一資料としたい。なお、今後は四日市市の地形など自然的社会的条件や都市構造等からの住宅団地の立地要因を検討すること、工業都市に住宅団地が建設された都市やベットタウンとして発展した都市などにおいて同様な研究を行うなど、事例研究の蓄積による研究成果を今後の課題としたい。