広島市の都市環境気候地図の作成に関する研究 －その４ 気温分布形成要因の総合的評価、および都市気候特性類型区分－

摘要

近年、日本の多くの都市において、都市ヒートアイランド現象、および地球温暖化による都市高温化が深刻化している1)。地方都市である広島市においても、都市高温化が進んでいることが報告されており2)、その対策が必要と考えられる。そこで筆者らは、広島市の都市環境気候地図（クリマアトラス）の作成を最終目的とし、夏季の気温分布調査（2012・2013 年）を行い、広島市全域の夏季気温分布の把握、その要因分析を行った3)4)。これらの結果より、広島市内においても場所により気候特性が異なり、また高温化要因も異なることが明らかとなったため、都市環境気候地図作成に際しては、その気候特性別に対象地をゾーニングした上で、それに応じた対策をゾーン別に示す必要があると考えられる。そのためには、まず都市内の気温分布形成要因の総合的評価注1)を行う必要があると考えた。既報3)4)より広島市は平野部／山間部（図1）で気温の日変化パターンやその形成要因が異なることを把握しているため、本稿では、まず気温観測結果を用いて、平野部、山間部別に重回帰分析による気温分布形成要因の総合的評価を行い、そしてその結果を用いて都市環境気候地図を作成することとした。