分譲マンション居住者の徒歩圏施設数に対する満足度と住み続け意識: 公共交通の使いやすさに乏しい分譲マンションの今後に関する基礎研究

摘要

1) 調査結果のまとめ公共交通の使いやすさに乏しくても，雪よけ不要で自然環境のよいことを評価する様子がわかった。徒歩圏にスーパーがある，或いは医療機関が5 件以上あると5 割程度が満足側に評価した。また，高齢になると住み慣れや愛着と資金との両面から住み替えが難しくなる。住み替えるとしても現在の行政区を出る意向は低く，住み慣れや愛着は利便性に勝る様子がある。2) 公共交通の使いやすさに乏しい分譲ＭＳの今後高齢者向けの同区内での住み替え支援と，積雪地の郊外にある分譲ＭＳ特有の雪よけ不要で自然環境がよい利点の周知とが，郊外にある分譲ＭＳの今後を左右する要素の一部になると考えられる。利点に魅力を感じる新たな居住者の購入･入居に繋がると，限界マンション化のリスクは下がる。但し新築分譲ＭＳは公共交通の使いやすい場所に供給される現状から，郊外での永住意向は期待薄と想定される。そこで例えば，空き住戸を管理組合の所有で賃貸物件とし原状回復不要の改修を認める等，維持管理費と長期居住の確保に繋がる新たな展開を可能にする仕組みの検討も必要と考えられる。