換地処分からみる植民地初期台湾都市の再編－明治33 年「臺北城内市區計畫」発布前後の換地記録を例として－

摘要

この研究は日本統治初期の台湾都市台北城を対象に、市区改正計画「臺北城内市區計畫」の発布に伴う土地の再編について考察するものである。日本統治時代に台湾都市は近代化が進められてきた。植民地政府台湾総督府は台湾各都市で市区改正計画という改造事業を実施し、都市景観は様変りした。それとともに、都市の土地権利関係を始めとする土地の状態が大幅に改変された。先行研究では、市区計画の実施により都市における土地が再編されたことについて研究がなされているものの、植民地の市区計画と土地再編がどのように影響し合ったのかについてはまだ分からないところが多い。日本植民地時代の市区計画に関しては、従来の研究は衛生、交通、景観面の近代化を図る都市改造として扱っているが、土地権利関係についてはあまり論じられていない。そこで、本稿では土地再編の観点から明治33 年の台北市区改正計画を扱い、植民地期の都市計画の特質について考察することにしたい。