防水材料の耐候性試験 その58動的粘弾性測定による防水材料の物性評価に関する一考察

摘要

防水材料耐久性試験方法小委員会では、防水材料の屋外暴露試験を2002 年から継続して行っており、今年で13 年が経過している。これまでは、防水材の劣化程度を把握する目的で、引張り強さ、伸び、成分分析など様々な測定を実施してきた1）。ところが、近年の防水材料は耐候性が格段に向上しており、屋外に数年間暴露した試験体の物性変化は極めて小さい。したがって、これらの屋外暴露させた試験体と促進暴露させた試験体を比較し、防水材料の劣化傾向の把握や寿命を予測することが困難であることが分かってきた。そこで、筆者らは、各種防水材料の物性変化を測定・評価する手法として、動的粘弾性の測定方法に注目した。この方法は、防振ゴムや車両用タイヤなどの弾性と粘性の性質を合わせ持つ高分子材料の品質向上や耐久性評価に多く使われている2）3）。本報（その58）では、動的粘弾性についての概略と、一例として促進暴露させたアスファルト防水材料による測定結果について報告する。次報（その59）と次々報（その60）では、各防水材料の屋外暴露試験体を用いた動的粘弾性測定を実施し、防水材料の物性変化の傾向と、劣化評価の可能性について考察した。