教育運営と空間構成からみた小中連携校の特徴:施設一体型小中連携校の利用実態と建築計画的課題に関する研究　その1

摘要

本研究では、小中連携校を対象にした教育運営と空間構成の特徴を分析し以下のことを明らかにした。1) まず、教育運営上の特徴として、その大半が6-3 制の学年区分を採用し、時制も小・中学校で分けているが、小学校段階での一部教科担任制を実施することで、小・中学校の接続を意識した運営を行う学校もみられること、2)4-3-2制の学年区分を採用し、それに合わせた時制を行う学校であっても、指導方式や運営方式等で小・中学校を分けた運営を行うものもあることが明らかとなった。3) 次に空間構成上の特徴として、アプローチ空間は小・中学校で共用する一方、昇降口が分離されているものが多くみられること、4) 図書室やPC 室といった情報系の特別教室の大半が共用もしくは近接することで学習活動時の連携利用が意図される一方、5) 中庭やテラスなどの屋外空間は、一部共用化することで自然な居合わせを期待した構成とするものも見られること。6) さらに、教育効果を期待して設定された交流活動については、ランチルーム、運動施設、アプローチ空間を中心に活動が行われる傾向にあることが明らかととなった。