鉄筋コンクリート造十字形柱梁接合部に梁の長期せん断力が及ぼす影響に関する実験 （その 2 長期せん断力の影響）

摘要

平面十字形柱梁接合部部分架構2 体の静的漸増正負繰返し載荷加力実験を行った結果，以下の知見を得た。(1) 長期せん断力の有無は，試験体の破壊状況や履歴特性に及ぼす影響は小さいが，上柱脚部の剛性が低下し，架構の応力や変形分布が変化するので，架構の耐震性能に及ぼす検討が今後必要となる。(2) 柱梁強度比が1.18 の試験体において，長期せん断力ありの試験体は長期せん断力なしの試験体より，最大層せん断力が約2%小さかった。(3) 柱梁強度比が小さい試験体において，長期せん断力がある試験体では上柱側の柱主筋の降伏が早い段階で起こり，上柱の変形が大きくなった。(4) 柱梁強度比が小さい場合，柱主筋が降伏して柱梁接合部内の応力伝達機構が変わり，層せん断力が小さくなった。