女川町を遡上した津波が建物に及ぼした水平外力の解析的検討

摘要

　2011 年東北地方太平洋沖地震津波による建物被害には様々な要因が影響したとされている が、主要因である津波の水平外力さえ適切に評価することは難しい。その理由の1 つとして、建物周りの波の挙動の変化を評価する必要があることが挙げられる。宮城県女川町では、2 階部分の躯体が塑性変形している一方で、1 階部分の躯体にはほぼ残留変形が見られない特徴的な被害形態のS 造建物があり、既往の調査から各階の水平外力に対する躯体耐力が推定されている。本研究では、女川町における2D-3D ハイブリッド津波遡上解析を行い、当該建物周りの波の挙動の変化、および作用する水平外力を評価し、その建物被害への影響について検討する。