配向多結晶材料を目指した高密度REBCO多結晶体の開発

摘要

REBa2Cu3Oy(REBCO)多結晶材料は銅酸化物超伝導体に本質的な結晶粒間の弱結合の問題を有し、粒間結合の 強化には高密度化および配向組織の形成が不可欠である。これに対し、最近の磁場配向技術の進歩により、双晶を 有するREBCOにおいても三軸配向体が作製できる可能性が示されている[1]。三軸配向体を緻密に焼結できれば、 弱結合の問題がないREBCO多結晶材料の創出につながり、金属シースによる高臨界電流特性の線材や、大型化に よる強力超伝導バルタ磁石への応用が期待できる。そこで我々は、高密度REBCO多結晶材料の作製手法の確立を 目指している。前回はYBCO粉末を様々な温度で焼結し、粒成長に伴うクラックの発生抑制と、高密度化手法に ついて議論した[2]。今回は引き続きYBCOの最適焼結条件について調べ、またその知見を(Y,Er)BCO磁場配向厚膜 へ展開したので報告する。