フツホウ酸系BaF2 透明ナノ結晶化ガラスの創製と蛍光特性

摘要

フッ化物ナノ結晶の析出した透明結晶化ガラスは、ガラスの高い透明性と自在な成形性を保持したまま、フッ化物結晶の優れた発光特性が得られることから注目を集めてきた。一方で、透明なフッ化物ナノ結晶化ガラスとしては、Pb 系、Cd 系を除くと、基本的にアルミノ珪酸塩からなることから、熔融温度が高く、フッ化物の揮発やそれにより脈理が発生しやすいなどの問題がある。一方で、フツホウ酸ガラスは溶融温度が低く、フッ化物の脱離がしにくい組成もあり、shinozakiらはBaF2-Al2O3-B2O3 系ガラスにおいてフッ素がほとんど脱離しないことや、希土類イオンの添加により極めて高い発光量子効率を示すことを報告した[1]。しかし、粘性の低いホウ酸塩をベースとすると、分相の形成や結晶成長の抑制が困難などの問題があり、透明性の高いフッ化物ナノ結晶化ガラスは報告されていない。本研究では、ZnO 添加による効果に注目し、低溶融温度のホウ酸塩をベースとしたフッ化物ナノ結晶化ガラスの開発とその蛍光特性の評価に取り組んだ。