シングルピクセルの超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を用いた時分割多重検出型位置検出および分光検出システムの開発

摘要

超伝導ナノワイヤ単一光子検出器（SSPD）は高検出効率、低暗計数率、低ジッタ（高時間分解能）、アフターパルスフリーなどの優れた特性を備えた単一光子検出器であり、シングルピクセルのSSPDは、量子光学実験や量子情報通信、深宇宙通信、生体蛍光測定など、広範な分野で既に応用されている。近年、放射方向検出や2次元画像検出などの光子の空間情報の検出や分光器と組み合わせた光子の分光情報の検出などへの応用の可能性から、SSPDを多数配列したイメージング検出器の研究が進められているが、一方で、SSPDの高時間分解能かつアフターパルスフリーという特徴に着目すれば、時分割多重検出方式を採用することで、シングルピクセルのSSPDを用いて位置検出や分光検出を行うことが可能である。本研究では、光子の位置情報や分光情報をSSPDでの検出時間情報に変換する時分割多重化光学系を構築し、SSPDと組み合せることで時分割多重検出型の位置検出および分光検出システムの開発を行ったので報告する。