鉄系超伝導体CaKFe_4As_4単結晶の臨界電流特性と磁束ピンニング機構

摘要

1144型鉄系超伝導体CaKFe4As4は、Fig. 1(a)に示すように、CaとKが固溶せず、各層がc軸方向に交互に積層した結晶構造を持つ。超伝導転移温度（T_c～35 K）や上部臨界磁場（H_(c2）～100 T）および異方性パラメータ（γ ～1-2）はAE_(1-x)AxFe2As2（122型）と同程度であり[2]、122型と同様、1144 型も高い応用ポテンシャルを有すると期待される。本研究では、CaKFe4As4単結晶試料を用いた磁化測定により臨界電流特性を評価した。Fig. 1(b)に、磁場をc軸方向に印加した場合の、測定温度5-30 Kにおける臨界電流密度Jcの磁場依存性を示す。1 T以下程度の低磁場では、温度上昇と共にJcは減少するのに対し、より高磁場においては温度上昇でJcが増大している。Jcの温度依存性を抽出すると、Fig. 1©に示すように、20-25 K近傍に極大を持つことがわかる。このようなJcの温度依存性は122型では見られず[3]、CaKFe4As4に特有の磁束ピンニング機構の存在が示唆される。講演では、実験結果の詳細を示すとともに、磁束ピンニング機構について議論する。