n型単層エピタキシャルグラフェンにおける非平衡キャリア緩和ダイナミクスのサブ5 fs時間分解ARPES計測

摘要

グラフェンは、超高速光応答特性、広帯域光吸収、強い非線形性、そして高い耐損傷性など優れた光学特性を有していることから、超高速光変調器や超短パルスレーザー用過飽和吸収材料などに応用されている。近年、光電界誘起電流、高次高調波発生、キャリア多重励起などさらに短い時間スケールの応答が関わる現象が報告され、10 fsからサブフェムト秒時間スケールにおける光励起ダイナミクスの更なる理解が求められている。従来、グラフェンの超高速ダイナミクス計測は、超短パルスレーザーを用いた時間分解透過率・反射率測定が用いられてきたが、最近、高次高調波を用いた時間分解角度分解光電子分光法(ARPES)が適用され、注目を集めている。これまで、我々は、PHz周波数級の時間スケールにおける固体電子系の直接計測を目的として、サブ5-fsの時間幅を有する極端紫外領域高次高調波光源を利用した時間分解ARPES法を構築してきた。本講演では、SiC(0001)基板上に成長した単層エピタキシャルグラフェンに本手法を適用し、光励起により形成される非平衡キャリアの緩和ダイナミクスを調べたので報告する。