常圧下一回熱処理による高J_c特性Bi2223/Ag多結晶厚膜の作製

摘要

銀シース線材に代表される(Bi,Pb)_2Sr_2Ca_2Cu_3O_y[Bi2223]多結晶材料は一般的に、1次焼成による相生成、プレス や圧延による高密度化·配向強化を経て、粒間結合を修復する2次焼成を行う手順で作製され、我々はこれに従 つて作製した多様なBi2223材料の高J_c化指針について報告してきた。一方、我々は最近、実用銀シースBi2223 多芯線材（DI-BSCCO) の超伝導接合技術開発を試みており、接合部へのBi2223厚膜中間層の導入により高い 接合I_c(77 K, s.f.) > 80 Aを達成している。接合I_cの向上には接合中間層の高J_c化が有効であることを見出して いるが、超伝導磁石の製作現場では、簡便な接合手法であること、接合過程において線材のI_cが大きく劣化しな いことも求められる。従って、上記のような工程の多い作製手順を適用することは難しく、短時間·常圧下での一 回熱処理によって高J_c接合中間層が形成できることが望ましい。そこで本研究では、高J_c接合中間層の開発指針 確立を目指し、常圧下一回熱処理による高J_c特性Bi2223/Ag厚膜の作製を試みた。