Non-smooth DEM における粘着力のモデルおよびパラメータ同定法に関する研究

摘要

建設作業やインフラ整備に使用されるブルドーザや油圧ショベルなどの重機の作業効率，燃費，耐久性などの基本性能の向上のために，作業対象である土砂や砂礫と機械との相互作用や，土砂や砂礫を構成する粒子同士の接触挙動の把握が必要である．土砂や砂礫は個々の物体は固体でありながら集合体としては流体のような独特な挙動をする．このような物質を粉粒体と呼ぶ．一般的に粉粒体の解析には粒子法に基づく手法が用いられてきた．代表的なものとしてSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)，MPM(Material Point Method) ，DEM(Distinct Element Method)が知られている． SPH は地面などの連続体を粒子の集合と仮定し，その粒子に重み関数を持たせ，重み関数と粒子の相互作用を連続体の構成則から計算し，粒子挙動を求める手法である．MPM もSPH と同様に連続体を粒子の集合と仮定する方法であるが，SPH とは異なりMPM では格子を利用する．形状関数を利用することで粒子の物理パラメータを格子の節点へ輸送し，節点において既存の有限要素法を解き再度形状関数により粒子へパラメータを輸送することにより，粒子パラメータを更新する手法である．DEM は砂の粒子を一つ一つモデル化し分子動力学的に計算を行う手法である．SPH，MPM など他の粒子法と比較して理論が比較的容易で汎用性が高いため機械工学や化学工学，土木工学など分野を問わず幅広く応用されている．