共鳴トンネルダイオードを用いたテラヘルツファイバ伝送(1): テラヘルツファイバの検討

摘要

近年，テラヘルツ波を用いた高速無線通信やセンシングなどの応用が期待されている．テラヘルツ波の送受信デバイスとして，小型で低消費電力な共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)が注目されており，無線通信応用（9 Gbit/sエラーフリー，距離10 cm）が報告されている．しかしながら，アンテナの大きさを小型に保ったまま，アンテナ利得を大幅に向上させ，通信距離を長くすることは難しい．そこで，我々は柔軟性があり軽量の，樹脂からなる中空誘電体ファイバをテラヘルツ伝送路として着目した．中空誘電体ファイバとしては，ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE，比誘電率2.1)を用いた0.1 THz帯での高速通信が報告されている．今回，より広帯域な0.3 THz帯で低い伝送損失が得られるファイバを設計し，評価したので報告する．