乳牛糞尿の嫌気性消化におけるセファゾリンが薬剤耐性菌の消長に及ぼす影響

摘要

畜産業において，抗生物質を投与した家畜から排泄された 糞尿に薬剤耐性菌が残留し，環境への拡散が指摘されている。 これらの耐性菌の制御法として嫌気性消化が検討され，一部の 薬剤耐性菌が低減されることが報告されている。家畜に投与さ れた抗生物質は，体内で代謝分解されずに排泄される場合が ある。例えば，乳房炎治療を目的として乳牛にセファゾリン(CEZ)が投与された場合，投与量の38%が尿へ排泄されると 推定した報告がある。家畜糞尿に抗生物質が残留する場合， 嫌気性消化による耐性菌低減効果に影響を与える可能性があ る。そこで，本研究では，抗生物質を含む家畜糞尿を用いて， 嫌気性消化における耐性菌の消長について検討した。乳牛糞 尿を用いてCEZの添加が薬剤耐性菌の低減効果に与える影 響について考察した。