汽水湖涸沼における塩化物イオン濃度の変化とその影響

摘要

淡水と海水が混合する汽水域は，その塩分濃度に 対応した生態系が形成され，シジミなどの生物資源 の生産性が高い水域も多い。また，汽水の湖に関し ては，その塩分濃度によって，湖水の循環や植物プ ランクトンの出現種が異なり，その環境に対応した 生態系が形成される。茨城県の東部に位置する涸沼は関東唯一の汽水 湖で，ヤマトシジミなど魚介類の漁場である。また， ヒヌマイトトンボなど希少動植物の生息場所でもあり，2015年にはラムサール条約の湿地に登録さ れた。これまでの調查で，湖水の塩化物イオン (CI~-)濃度が近年高くなっていることが報告され ている。本発表では，Cl~-濃度の変化について総括 するとともに，水質への影響について報告する。