容器内き裂検査のためのデジタル画像相関法援用き裂検出手法の検討

摘要

現在社会では様々な化学製品が生産されている.それ らを製造する施設として化学工場の巨大なタンクなど の容器が多く用いられている.タンク内の貯蔵物には爆 発物、可燃性、急性毒性化学品が多いので，もし容器の 漏えい事故が生じた場合大きな事故に繋がる.このよう な重大な事故を防止するために，容器内部のき裂を検出 必要がある.超音波を利用した欠陥検査法は現在最も用 いられている検査手法であるが、現場に人体に悪影響を 与える物質がある可能性もあるため，必ずしもこのよう な従来型の検出方法が利用できるとは限らない.現在赤 外線カメラを利用して，温室効果ガスや揮発性有機化合物(VOCs)、一酸化炭素などの漏れを検出する手法も提案 されてはいる.しかし赤外線カメラではガス漏えい前に 欠陥検出ができない.したがって漏えい前にき裂を検出 できるようにすることが課題となっている.本研究では このような構造物に適用できるき裂検出手法として，画 像処理手法であるデジタル画像相関法(Digital Image Correlation:DIC)に注目した.画像処理手法の利点は，非 破壊•非接触で変位計測が可能な方法であり，外部から 内部のき裂を検出できる.さらに撮影された範囲につい て全視野分布計測が可能である.また材料表面の画像を 撮影できれば，その現場で評価可能という便利性もあり， 検査対象から離れた位置からも評価可能である，人の立 ち入れない過酷な条件下でもき裂が検出できることが 考えられ、この手法は大いなる利用範囲の拡大の可能性 を秘めている.