Rural Livelihood Security Assessment for Smallholders Undergoing Economic Changes and Agro-Climatic Events in Central Kenya

摘要

ケニア政府による経済の構造調整計画の実施は、農産物価格を凌駕する農業投入財価格の上昇をもたらし、小農民の生産に負の影響を与えた。同時に、降雨パターンの変動もまた地方レベルの世帯の脆弱性の状態に関わりを持っている。本稿では、作物品種選択と危機対処の経験に関する長期間データの事例分析を通して、ケニア中央部の小農民がこれらの変化にいかに対処・適応しているのかという問題に取り組んだ。本研究は、彼らの取り得るあるいは実際に行っている生計安全保障戦略が、地域的にあるいは世帯レベルでどのように理解できるかを示すものである。調査対象とした 40 世帯の年間純所得を評価し、それを構成する経済活動部門を、農業、牧畜、非農業活動、農外活動、林業の5つに分類した。世帯の生計戦略を操作可能な概念とすることで、世帯が危機の経験を生かしこれら5 部門の活動をどのように選択し組み合わせているかという、世帯の戦略を明らかにすることができる。また、作物品種選択を検討することで、意志決定の基礎的な要因が複数あることが明らかになった。すなわち、地理的、経済的、政治的、社会・文化的、作物学的という5つの要因グループである。本稿は、小農民の対処・適応能力の効果的な理解が政策にとって重要な意味を持つことを示している。それは農村部の生計の安全保障を改善することを目標とする政策立案のための基礎を提供するものであり、また既存の生計戦略の上に構築される食糧安全保障計画を推進する外部の計画者たちにも参考となると考える。