皺形成する培養皮膚のための屈曲培養システム

摘要

皺は老化の印としてネガティブな印象を与えるこ とが多く皺についての研究や，皺改善についての研究が進められている1。しかしマウスなどの実験動物を用いている研究が多く実験動物とヒトの皮膚には差異があることやヨーロッパでは実験動物を用いた化粧品開発は禁止されていることを理由によりヒトに近く扱いやすい実験モデルが求められている。また近年培養皮膚で被覆されたロボットの開発が進められている。これは従来のシリコンなどの素材では再現できなかった人間らしさが再現できると考えられる。ロボットの被覆素材としての培養皮膚に皺を形成することで，より人間らしい見た目になると考えられる。そこで，本研究では屈曲運動に注目して培養皮膚への皺形成を目指した。培養皮膚の屈曲運動に関する研究では真皮のみのモデルの屈曲培養が行われており皺形成の可能性が示されている2。しかしこの研究のモデルでは表皮層が形成されておらずヒトの皮膚の表皮層と真皮層の2層構造が再現できていない。そのためよりヒトに近い実験モデルとするには表皮を有する培養皮膚を屈曲培養させる必要がある。また従来研究ではシリコーンシートの上に真皮モデルを乗せた構造となっており屈曲時に真皮モデルが基板であるシリコーンシ ートから剥離してたるみが生じてしまうと考えられる。そこで本研究では表皮を有する培養皮膚が基板に密着し屈曲時も培養皮膚がたるまないシステムを提案した。