乳房インプラン卜関連未分化大細胞型リンパ腫と鑑別を要した乳房豊胸術後慢性拡張性血腫の1例

摘要

患者は77歳，女性.約45年前にインプラントによる両側乳房増大術（豊胸術）を行った.数年 前より右乳房の腫大を自覚していた.S状結腸癌精査目的に施行したCTで右乳房インプラント周囲 に軟部組織の增生を認めた.USではインプラントの周囲に境界不明瞭な広範囲の低エコー域を認 め，PET-CTで右乳房に淡く集積を認めた.同部位の針生検にて悪性所見は認めなかったが，乳 房インプラント開連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)やインプラント破損などの可能性も否定 できず，本人の希望もありS状結腸癌の手術と同時に右側インプラント抜去ならびに右乳房切除術を 施行した.病理組織はインプラント周囲の血腫および脂肪織炎と診断された.