乳房超音波検査においてnew lesionであるということは悪性の指標として重要な因子の1つである

摘要

背景：検診や日常臨床での乳房超音波検査において，過去画像には存在していない新たな病変に遭遇することがしばしばある.カテゴリー3の病変が悪性である確率は8.7?11.29との報 告がある力new lesion （新出性病変；新出）であることが明らかな場合は，そうでない場合と 比較して，同等のカテゴリー診断でも悪性である可能性はより高いのではないかと予測した. 対象?方法：2014年1月から2021年8月までの期間に当院人間ドックあるいは当院乳腺?甲状腺 外科を受診し乳房超音波検査を行った延べ29,070例のうち，USガイド下で針生検，吸引式針生検, 穿刺吸引細胞診が行われ良悪性の判明している症例は延べ1,501例であった.そのうち，新出と判 断された116例を対象とした.なお，新出の定義は過去3回の乳房超音波検査にて存在した証拠 がなく，新たに確認された病変である.良悪性疾患別臨床的背景因子を比較し，年代別良悪性疾 患出現頻度の違い，またより良く良悪性を区分する年齢のカットオフ値をカテゴリ一別に検討した.さ らに，新出乳癌症例の臨床?病理学的特徴に関して，また乳癌の診断に至った生検のタイミングに関 して，経過観察なしに生検を行った症例と経過観察後に生検を行った症例での臨床的特徴と病理学 的特徴の違いについて検討した.