Upper G. I. Cancer 食道?胃癌

摘要

本号のCurrent Organ Topicsは食道癌?胃癌に対する最新の話題に関して3人の先生に解説いただいた。まず,外科手術療法に関しては「進行胃癌に対する低侵襲手術のトピックスと今後の展開」と題して大分大学の衛藤剛先生からご寄稿いただいた。これまで，わが国のガイドラインでは腹腔鏡下胃切除術はcStage Iに対しては標準治療の一っとして行うことが推奨されていたが,cStage H, IIIに対しては明確な推奨が示されていなかった。しかしながら，衛藤先生らが主導したランダム化比較試験であるJLSSG0901試験によって,開腹幽門側胃切除に対する腹腔鏡下幽門側胃切除の非劣性が検証された。その結果を受けて胃癌治療ガイドライン速報版でも, cStage II, IIIの進行胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除が標準治療の一つとして推奨されるようになった。今後 は，大型3型?4型胃癌，食道胃接合部癌，術前化学療法施行例，他臓器浸潤胃癌などの高度進行症例や高度肥満症例などに対するエビデンスの構築が必要となるものと思われる。また,AI支援技術などの導入により,腹腔鏡下胃切除術のさらなる安全性の向上に寄与する可能性も示唆されている。