逆浸透膜

摘要

21世紀は「水の世紀」と言われるように、近年、世界的に水の需要が増加する一方、水資源の枯渇、水質の悪化が地球規模での重要な問題となり、飲料水、工業用水や農業用水を得るために持続的な水資源を確保する技術が求められている。 その重要な技術として、水処理用分離膜が大きく発展してきている。 水処理用分離膜はその平均孔径/除去対象物質で逆浸透（RO）膜、ナノフィルトレーション（NF）膜、限外ろ過（UF）膜および精密濾過（MF）膜に分類される。 限外ろ過膜と精密濾過膜は、除濁·除菌用途中心に、浄水から下水まで幅広い分野で用いられている。逆浸透膜は、溶解塩や低分子量有機物まで除去することが出来るため、海水淡水化、かん水淡水化などの脱塩分野、超純水製造、有価物回収や廃水処理など、様々な水処理プロセスで普及している。 ナノフィルトレーション膜は逆浸透膜と限外ろ過膜の中間的分離性能を示す膜で、透過流速が高く、溶解しているイオンや有機物の種類によって大きく分離性能が異なる特異な性質を持っていることから、近年、硬水の軟水化や水道用水の高度処理への利用が増加している。 逆浸透膜では、膜素材ポリマーの研究が長年行われてきた。 1960年代以降、世界各国で200種以上のポリマーが検討された結果、現在ではポリアミド膜と酢酸セルロース（CA）膜が商品化されている。 特に、図2のような化学構造を持つ架橋全芳香族系ポリアミド複合膜が主流となっている。