システム開発·ソフトウェア開発論文特集編集委員会

摘要

研究が学問に根ざした新しい原理，現象などを探求するものとすれば，実用化の仕事は，現場の実際からにじみでるものを正しくつかんで，学問的に組み立てられた骨組みに肉付けする作業といえる．理論的な新たな結果，実験的な新たな結果，あるいは理論と実験の組合せによる新たな結果をまとめた論文は，研究的な要素が強く評価も受け入れやすい傾向がある．一方，実用化前の検証に必須となるシステム開発やソフトウエア開発は，面倒が多く，ややもすれば面白みが少なく，縁の下の力持ちのような役目になりがちである．しかし，そんなことはない．実際の社会に役立つものの開発には，細部の肉付けや周辺の関係各部に幅広く気を配り，予想される一切の問題を検討して，現場に出してから問題の起きないようにしなければならない．以上の条件のもとで性能を追求しなければ成功しない．この点において，システム開発やソフトウエア開発は研究以上の価値をもち，よって，これらの開発にかかわる創意工夫は和文論文誌Bの読者にとって有益な情報になる．