高強度ポリエチレン繊維の紡糸・延伸過程における微細構造発現について

摘要

高強度ポリエチレン繊維はオランダDSM 社の Smith とLemstra らによるその基本発明から既に20年以上が経過し、様々な分野で用途展開が進んでいる。 本繊維が製造される「ゲル紡糸法」において、高強度繊維が得られるメカニズム、つまり分子鎖が高度に配向した結晶構造が得られる構造発現のメカニズムに関して、過去より膨大な研究がなされてきた。 しかしながら、実際の繊維を製造するプロセスで採用されている準希薄領域での溶液のレオロジー特性や、それを用いての紡糸・延伸過程については意外に報告例が少ない。本稿では、超高分子量ポリエチレンの準希薄溶液の特性からの繊維の構造発現機構に関して報告者らが過去に行ってきた研究に加えて、最近検討中の結果についても併せて報告することにする。