超冷中性子源用オルソ重水素における放射線効果

摘要

本研究ではUCN源に用いられる重水素の放射線効果を、PSIの核破砕中性子源SINQの重水素モデレーターからサンプリングする方法と、京大原子炉LINACを用いてのオルソ重水素に対する照射実験の2つの方法で測定した。 結果、放射線線量230mW/gに9ヶ月間設置されていたSINQモデレーター中の重水素は76.2％であった。 また、京大原子炉における照射実験ではオルソ#12539;パラ転換の値は分子崩壊から予想される値よりも4.7倍大きかった．これは分子崩壊を介しないオルソ#12539;パラ転換プロセスによると考えられる。 しかし、そのプロセスの原因の特定はできなかった。 これは今後の課題である。 今回の実験結果をPSIのUCN源に適用した場合、連続運転でも98.8％と高いオルソ濃度に平衡するであろうと考えられ、このUCN源の性能として予想している値、UCN密度ρ＝2000/cm~3は十分可能であると考えられる。