表面pH分布測定による亜鉛系めっき鋼板の初期大気腐食性評価

摘要

大気環境下における亜鉛系めっき鋼板の初期耐食性について，薄い水膜下での腐食試験および表面のpH分布測定により評価した。pH分布の測定は市販の光走査型化学顕微鏡（Scanning chemical microscope，SCHEM）により行った。 試料はめっき部の一部を酸により溶解し，母材鋼を露出させて試験に供した。 腐食試験において，亜鉛めっき鋼板では母材鋼露出部とZnめっき部界面近傍のZnめっき部から亜鉛の溶解がみられ，母材鋼露出部では白色の腐食生成物が観察された。 Zn-55％Alめっき鋼板もほぼ同様の腐食挙動を示したが，白色の腐食生成物の量は少なかった。一方，表面のpH分布測定結果から，Zn-55％Alめっき鋼板は亜鉛めっき鋼板と比較して，めっき部の溶解性が低いことが明らかになった。 光走査型化学顕微鏡による表面pH分布測定は，大気腐食環境下における亜鉛系めっき鋼板の防食機構を検討する上で有用であることがわかった。