亜硝酸系防錆剤を含む空調機使用水下での銅管の腐食挙動

摘要

実機プラントで使用されている空調機水を用いて銅管の電気化学的挙動を調べた。 防錆剤無添加水と添加水下における分極曲線に大きな違いが見られた。 すなわち，無添加水では明瞭な不動態領域が存在しないのに対し添加水では約-950mVから120mVの範囲で,電流密度が約1μA／cm~2である不動態領域が明確に現れた。 添加水下における銅管の自然電位はこの不動態領域に存在することから，防錆剤添加水下での銅管の腐食速度は遅いものと推測された。 また，200mVで1週間の定電位保持試験においても，無添加水では，1週間後において約20μA／cm~2の電流が流れるのに対し，添加水でほはば0μA／cm~2であり防錆剤添加の効果が確認された。 定電位保持試験終了後の試料表面は，無添加水の方が酸化皮膜と緑青で覆われているのに対し，添加水ではほぼ全面が初期の金属光沢で覆われていた。 ただし，添加水の場合でも緑青が発生した場合，その下部で浅い腐食が進行していることが分かった。