プレヨートアルミニウム合金板におばる皮膜特性に及ぼすインナーワックスの影響

摘要

飲料缶蓋用プレコートアルミニウム板の樹脂中に使用されているインナーワックスについて，その含有量,塗料焼付け温度が塗膜潤滑性,耐傷つき性に及ぼす影響およびその作用機構について調査した。1）塗膜中のワックス含有量の増加と共に，塗膜潤滑性及び耐傷つき性が向上する。また，含有量が同じであってもカルナウバの方が塗膜へ潤滑性を付与する効果が高く，PEは耐傷つき性を付与する効果が高い。2）塗膜中のワックス含有量の増量および塗装焼付け温度の高温化は，塗膜表面のワックス面積率を増加させ,塗膜の潤滑性および耐傷つき性を向上させる有効な手段である。3)PEやカルナウバなど数種のワックスを併用することで，それぞれの相互作用により，より優れた塗膜潤滑性と耐傷つき性を有する塗膜が得られる。 目的，用途に応じて，より適正なワックス種,添加量を選択し，また組み合わせることで，より高い機能を有したプレコートアルミニウム板を造り出すことができると考えられる。 飲料缶用，会缶用などの用途に限らず，環境，人に優しい技術のひとつとして，これらワックスについては今後も広く利用されていくものと思われる。