羽毛加水分解物による出土木材の抗収縮#12539;補強作用

摘要

遺跡から出土する木材は，大多数が水漬けの状態にある．土中の微生物による劣化作用により多孔質となり，水の浸入を受けて高含水状態となっている．乾燥させると大きな変形が生じるだけでなく，細胞内こうの水の表面張力に脆弱な細胞壁が耐えきれず細胞内こうに落ち込むため，元の形状が損なわれてしまう．そこで，通常，出土木材中の水を樹脂に置換して形態を安定化させる保存処理が行われる．PEG処理は日本で最も多く利用されているが，広葉樹材の処理では，材質がち密なため，含浸溶液の最終仕上げ濃度を80％以上にする必要があり，またPEGの分子量の関係から，含浸期間が長期化するなどの課題がある．